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Nagoya Neurology

教室紹介

教授挨拶

名古屋大学 神経内科学(脳神経内科)のホームページへようこそ

脳神経内科は、脳・脊髄・末梢神経・筋などの神経系(システム)の病気を扱っています。神経系の病気には変性疾患、感染症、自己免疫疾患、血管障害、腫瘍、機能性疾患(てんかんや頭痛など)が含まれており、非常に多彩な病気に対応しています。片頭痛は800万人、認知症550万人、脳梗塞300万人など、患者数の多い病気を扱うことが多い一方で、希少疾患が多い難病にも対応しています。なかでも認知症などの神経変性疾患は社会の高齢化に伴い、以前に比べ患者数が多く、社会的ニーズが極めて高い領域です。 脳神経内科を取り巻く環境は近年極めて大きく変化してきています。第一に、これまで病気のメカニズムが不明であった多くの神経難病について、分子レベルでの病態解明が進み、病気の根本原因を標的とした画期的な治療法が開発されつつあることです。

とくにアルツハイマー病や多発性硬化症・重症筋無力症などの免疫性疾患に対する抗体医薬や、運動ニューロン疾患をはじめとする神経筋疾患に対する核酸医薬の開発には目覚ましいものがあり、新しい治療法を開発するための治験も数多く行われています。また、iPS細胞や幹細胞などの細胞治療や遺伝子治療、電気や磁気刺激により神経回路機能を調整するニューロモデュレーション、脳とコンピュータをつなげるブレイン・コンピュータ・インターフェイス(BCI)など、新しい技術の開発が進んでいます。 名古屋大学神経内科学は40年以上の歴史を持つ教室であり、中部・東海地区の脳神経内科の教育・研究・診療の中心的存在を担ってきました。教育については、学部(卒前)ではベーシックな内容から最新の動向も含めて理解して頂けるようなカリキュラムを組んでいます。とくに、臨床実習では患者さんに接しながら診察や検査、治療が学べるよう、学生の主体性を尊重しつつも、的確なフィードバックを提供して、神経内科の魅力を感じていただけるよう努めています。卒後教育においては、専門医として必要な知識や技能を習得して頂いた上で、血管内治療やリハビリ、電気生理学的診断、神経・筋生検、遺伝診療など様々な専門領域を身につけていただけるような教育を実践するとともに、学内外の連携を進めることで、国際性豊かな研究者の育成を目指しています。 研究については、運動ニューロン疾患やパーキンソン病、アルツハイマー病などの神経変性疾患を中心に、末梢神経疾患、筋疾患など幅広い疾患を対象として、細胞・動物モデルを用いた基礎研究と患者さんから得られるデータを用いた臨床研究の両方に取り組んでいます。とくに当教室の強みは、基礎研究で得られた成果を臨床試験で検証するトランスレーショナルリサーチ(TR)と、逆に患者さんの体内で起きていることを生体指標(バイオマーカー)を使って解明し、それを基礎研究に活かすリバースTRを進めていることで、これらの研究を通じて、診断・治療法の社会実装を目指しています。

また、神経変性疾患の多くは症状が出現する前から分子レベルでの病態変化が始まっていることが分かっていますので、症状が出現する前の超早期(プレクリニカル期、プロドローマル期)の段階で病気の進行を止める先制治療の開発にも積極的に取り組んでいます。

名古屋大学神経内科学ではこうした研究を支えるための基礎研究の設備やマテリアル、筋萎縮性側索硬化症、球脊髄性筋萎縮症などの疾患コホートや、アルツハイマー病やパーキンソン病の発症前(ハイリスク者)のコホートが整備されており、これらを活用した国際連携や産学連携も進めています。それぞれの研究分野において、世界をリードすることを目指し、国内外の研究拠点とも積極的に連携しています。臨床研究の計画や実施にあたっては、患者さんやご家族、社会の視点や意見を反映させるPPI(患者市民参画)を実践しており、とくに球脊髄性筋萎縮症の医師主導治験の計画などに患者さんの意見が反映されています。また、厚生労働省や医薬品医療機器総合機構(PMDA)とも人材交流・情報交換を行っており、薬事行政やレギュラトリーサイエンスにも関与しています。

診療については、様々な疾患に対し、最先端の画像診断を含む多角的な手法で診断を進めると同時に、エビデンスに基づいた治療の実践を行っています。また、患者さんや家族とのコミュニケーション、スタッフ間のコミュニケーションを密にすることで、医療の質の向上、維持にも努めています。毎週のカンファレンスと総回診を通じて、患者さん一人一人の状況をスタッフ皆で共有・議論し、チーム医療の実践に努めています。2025年には名古屋大学大学医学部附属病院にパーキンソン病総合医療センターが設立され、今後パーキンソン病の多職種連携や患者さん・ご家族との連携を深めていきたいと思います。

脳神経内科は人々が人らしく生きていくためになくてはならない重要分野であり、今後ますます発展していく医学領域です。若い先生方と一緒にこの分野の進歩に貢献していきたいと思っています。